
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 全員が主役になる柳ケ浦式バスケ論 柳ケ浦高校バスケットボール部監督・中村誠(後編)
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2年ぶりの国スポ出場を目指し、バスケットボール少年女子の大分県選抜が熱を帯びて動き出した。メンバーは16歳以下で構成され、県高校総体を制した明豊から5人、準優勝の大分から4人、日田から1人、さらに中学3年生2人を加えた精鋭12人。高校1年生中心の若いチームだが、その表情には臆する色はない。
その中で核となるのが、昨年も九州ブロックの舞台を経験した2人の2年生だ。小村梓(大分)は、スピードに乗ったドライブでゴールへ切り込み、得点を量産する攻撃の柱。練習でも一度スイッチが入ると、リングまで一直線に突き進む迫力がある。「毎試合20点以上取って勝ちたい」と語る言葉の端々に、昨年の悔しさを晴らす決意がにじむ。
もう一人はキャプテンの坂本郁歩(日田)。守備の間合いと読みの鋭さは群を抜き、相手の攻撃を潰す泥臭いプレーをいとわない。声を張り上げ、味方を動かす姿はまさにチームの心臓だ。「抜かれないディフェンス、リバウンド、ルーズボール争い…泥臭い部分で勝ちたい」と試合を支える覚悟を胸に刻む。
6月の県総体翌週にあった選考会で選ばれた12人は、これまで5度の練習会で連係を磨いてきた。杉山真裕実監督(明豊)は「寄せ集めのメンバーなので成熟度はまだないが、それはどの県も同じ。この年代は伸びしろが大きく、短期間で急成長できる」と語る。連係面の不安は残るが、個人の能力を最大限に発揮する戦い方で国スポ切符を狙う方針だ。
九州ブロック大会は8県が3パートに分かれて予選リーグを行い、各パート1位が国スポ出場権を獲得する。2位でも残り1枠をかけたプレーオフに進める。初戦は強豪・福岡。「相手のディフェンスは強いが、走るバスケットで押し切りたい」と坂本。小村も「今年は全員がボールを運べる。速攻から自分のドライブで仕留めたい」と目を輝かせる。
短期間で築き上げた“即席の結束”と、若さゆえの勢い。それぞれが自分の武器を信じ、仲間と力を合わせて挑む。激しいディフェンスの応酬、走力勝負の速攻、そして一つ一つのプレーに響く仲間の声。そのすべてが勝利につながる。チームが掲げるのは、2年ぶりの国スポ出場という明確なゴール。その道のりは決して平坦ではないが、選手たちの目には迷いがない。
(柚野真也)
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