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トリニータ 9月の連戦を前にポジション別最新序列 ボランチ&ウイングバック編

トリニータ 9月の連戦を前にポジション別最新序列 ボランチ&ウイングバック編

 13節を終えて3勝3分7敗、勝ち点12で暫定14位。5連敗を喫することもあったが、試合内容は上向きつつある。これまでは、けがやコンディション不良でメンバーを大きく入れ替えたが、最近の試合では主軸が決まりつつある。片野坂知宏監督はJ1レベルでパフォーマンスが発揮できるかを基準とし、「コンディションがいい選手を優先して起用する」との方針を示している。

 今後も連戦が続き、先発メンバーの顔ぶれはどう変わっていくのか―。ポジション別に最新序列からチームの現状を検証してみた。

 

【ウイングバック(サイドハーフ)】

 

 攻守両面の高い能力とスタミナを必要とするポジションで、サイドに起点を置く片野坂監督のサッカーにおいて重要な役割を担う。昨季の右ウイングバックは全試合に先発出場した松本怜だったが、今季は連戦による疲労でパフォーマンスが低下し、メンバーから外れることもあった。その間に井上健太や小出悠太らを試したがフィットしたとは言い切れず、11節の札幌戦に出場してからは松本がポジションを奪い返した。攻撃を組み立て、機を見て縦へ鋭く突破するタイミングを心得ており、クロスの種類も多く洗練されている。何より安定感のあるプレーは、チームに欠かせない。

 

 左ウイングバックは田中達也が有力だったが、今季はトップ下にコンバートされたため、香川勇気が定着した。開幕戦で先発の座を射止めてから、4節の神戸戦で負傷退場した直後の試合の欠場以外はピッチに立っている。馬力のあるオーバーラップと、利き足の左からの高精度のクロスで得点機を演出し、監督の信頼を勝ち取った。同じサイドのDF三竿雄斗との連係もよく、右サイドからが多かった攻撃がバランスよく左右均等になったのは香川の存在が大きい。

 

 その他に候補として名前が挙がるのは、両サイドでプレーできる高山薫、星雄次だが、現状はメンバー外が多く、松本、香川が連戦で疲労が蓄積したときのバックアッパーとして出番に備えることになる。

 

貴重な戦力となった香川勇気

 

【ボランチ(センターハーフ)】

 

 不動の存在となった長谷川雄志。昨季の中盤から先発を勝ち取り、師匠と慕う小林裕紀とのコンビで飛躍的に成長した。左右遜色ない精度の高いキックを武器に、ワンステップで寸分の狂いなく逆サイドまでパスを届ける展開力がある。プレースキッカーとしての評価も高く、11節の札幌戦ではコーナーキックから得点を演出した。また、フィジカルが強く、コンタクトプレーも得意。大ブレークの予感がある。

 

 長谷川の良さを引き出した小林裕紀だが、5節のG大阪戦以降はベンチからも外れた。公式発表がなく、けがによる離脱なのかは不明ではあるが、しばらくはピッチに出ることはなさそう。小林裕紀の穴埋めは、島川俊郎で落ち着いた感はある。豊富な運動量で中盤のスペースを埋める“汗かき役”だが、ゲームコントロールを意識したクレバーなプレーも見られるだけに、周囲の選手が気持ち良くプレーできそう。

 

 サブには、ここ数試合で試合を閉めるクローザーとなった羽田健人が名を連ねる。本職はDFだが、対人に強く、エアバトルを得意とするルーキーは場数を踏み、課題である判断スピードが上がれば新境地を開拓できる可能性を秘めている。

 

 一方で、出場機会を与えられながらアピールできずに終わったのが新加入の佐藤和弘であり、小手川宏基、試合中の負傷で離脱した前田凌佑だ。技巧派ではなく、シンプルなパスと守備の堅さが特性のバランサーを好む片野坂監督の意向に向かないのかもしれない。前線やサイドはシンプルな数的優位や質的優位で攻め、中央は堅く守りたいはず。そう考えると、片野坂監督のスタイルに当てはまるボランチは人材不足なのかもしれない。

 

プロ2年目も飛躍の年となっている長谷川雄志

 

 

(柚野真也)

 

大会結果