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#スポーツのチカラ 県高校総体 バレーボール男子 チームの底上げを図った大分工業

#スポーツのチカラ 県高校総体 バレーボール男子 チームの底上げを図った大分工業

 今年は大分工業にとって古豪復活の年になるはずだった。2月の県高校新人大会で5年ぶりの栄冠をつかみ、県高校総体、全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)県予選で勝利し、その先にある全国の舞台を見据えていた。

 

 それだけに新型コロナウィルスの感染拡大による全国大会中止のショックは大きかったが、切り替えは早かった。「一番華やかな春の高校バレーに向けて頑張ろうと声を掛けた」(江崎裕之監督)。その思いに応えるように、選手たちは部活動休止中も自主練習に励み、ひと回り大きく、引き締まった体を手に入れた。部活動休止前に身体測定した数値をほとんどの選手が越えてきたという。それは選手たちの“本気”の表れでもあった。

 

 リーグ戦2試合のみという特殊な形で開催された県高校総体。大分工業は部員全員を4チームに分け、セットごとに交代する“全員出場”にこだわった。「勝ちたいという欲はあったが、春の高校バレー県予選に向け、全員の力の底上げが必要だと思った。高校生はどこでどう伸びるか分からない。試合でグッと伸びる選手もいる。全員に経験させたかった」(江崎監督)

 

 1試合目は楊志館と対戦し、高校からバレーを始めたという1年生も出場。1セット目を落とすなどあわやという場面もあったがチームに焦りはなかった。勢いも明るさも失われることなく、(部内の)チームを交代し、2セット目、3セット目を奪取して勝利をつかんだ。

 

粘り強くつなぐバレーを目指す大分工業

 

 しかし、2試合目の別府鶴見丘戦になると様相が変わる。2セット目序盤から別府鶴見丘の勢いに飲まれ、粘り強くつなぐ大工バレーが影を潜めた。「声や勢いに圧倒され、自分たちのプレーができなかった」(加嶋祐汰・3年)。尻上がりに調子を上げ、両セット共に追い込まれた終盤に連続得点するなど見せ場もつくったが、最後まで別府鶴見丘の高さのあるスパイクやブロックを攻略できず、2-0のストレートで完敗した。

 

 試合後、キャプテンの加嶋は「練習不足、実力不足だった」と唇を噛んだが、「(別府鶴見丘戦に出場した)2チームとも終盤で粘ることができた。春の高校バレー県予選に向け、ファーストボールにこだわり、ボールを床に落とさないバレーを実践したい」とまっすぐに前を見据えた。エースの甲斐優作(2年)は「ブロックにつかまることが多く、試合を有利に進めることができなかった。春の高校バレーに向け、3年生のために最高のバレーをしたい」と語った。

 

 「今年の3年生は戦力的にも、技術的にも苦労した。試合に出ることができなかった選手も多い。でも練習試合、紅白試合で本番さながらの主審をするなど、その子たちがチームを支えてくれた。その思いに応えたい」。江崎監督がいう「思いに応える」とは、勝利することに他ならない。今後は春の高校バレーの開催を信じ、粘り強い大工バレーに磨きをかける。

 

チーム一丸となって春の高校バレー出場を狙う

 

 

(甲斐理恵)