OITA SPORTS

7/1 TUE 2025

supported by

聖晃産業グループ

野球 野球

2020県高校野球大会 仲間のために戦い、全力尽くした3年間 大分上野丘

2020県高校野球大会 仲間のために戦い、全力尽くした3年間 大分上野丘

2020大分県高校野球大会

2回戦 上野丘4-8大分工業

1回戦 上野丘8-0由布(7回コールド)

 

 

 大会1週間前に骨折した主砲の梶原章吾(3年)のために「絶対に勝って、2回戦のグラウンドに立たせてやろう」と奮起した大分上野丘。1回戦・由布との試合は7回コールド勝ちを収めた。そして2回戦。チームメートの思いに支えられて出場した梶原を中心に、全員が気持ちを一つにして第3シードの大分工業に粘り強く食らいついた。負けはしたが、見るものの胸を熱くする激闘に会場が沸いた。

 

 試合は接戦となった。1回に先制されたが、すぐに気持ちを切り替えた。4回には4番・梶原の二塁打から同点とし、5回に再びリードを許したものの、すぐに追いついた。最後の夏を戦う3年生はもちろん、好投を続けた上坂一粋、2本の二塁打を放ち、チームに貢献した荒川将如など2年生も奮戦した。胸にあったのは「チームのために」。誰もが、自分のためではなく、チームのために、仲間のために戦い抜いた。

 

 9回に一挙3点を失い、突き放されたが、チームに悲壮感はなかった。「やることが明確になった。後ろの選手につなごうと声をかけた」(野仲貴博監督)。選手たちに諦めの姿勢は一片たりとも見受けられなかったが、勝ち越しの一打はついに最後まで出なかった。

 試合後、野仲監督は「チャンスを生かせていればという思いはある。だが、それは自分の責任。選手たちは本当によくやってくれた。大きく成長した姿を見ることができた」と選手たちをたたえた。

 

意地の一打を放った梶原章吾

 

 キャプテンの大石琉偉(3年)は「チャンスはたくさんあったが最後までリードさせてもらえなかった」と唇をかんだが、3年間を振り返り、「自分たちの代は人数も少なく、野球の実力は劣っていたかもしれない。それでも一つの目標に向かって頑張ることができた。すごく幸せなことだと思う。3年間の野球生活に悔いはない」と言葉を続けた。

 

 梶原は「骨折した時みんなが支えてくれた。病院や接骨院を紹介してくれたり、励ましてくれたり。その思いに応えたいと心から思った。今日の試合に関しては反省点も悔いもあるが、みんなに出会えたこと、3年間野球に全力を尽くしたことに悔いはない」とまっすぐに前を見据えて語った。

 互いを思い、ひたむきに走り続けた3年間。3年生の夏は終わったが、今日、ここに到るまでの道のりで学んだこと、得たものはこれからの人生においてかけがえのない財産として輝き続ける。

 

全員野球で食らいついた大分上野丘

 

 

(甲斐理恵)