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トリニータ 2桁得点を狙う新エース知念慶の今

トリニータ 2桁得点を狙う新エース知念慶の今

 人見知りで知られるFW知念慶が、ようやくチームになじんだ。「体のキレもすこぶるよく、得点は時間の問題と思っていた」矢先のコロナウイルス感染拡大による公式戦の延期。知念は「残念としか言いようがない」と嘆いた。クラブの活動休止期間は、モチベーションを高く保ちトレーニングしていたが、何度も試合が先延ばしになる中で、いったんスイッチを切った。「ゴールが見えない以上はモチベーションを保てない。追い込んでもいないが休んでもいない」時間を過ごした。練習が再開されて2週間経つが試運転は続く。

 

 今オフは例年なら故郷の沖縄に帰省するはずだったが、初めての移籍を決断したため都内に残り、トレーナーとともに休まずにトレーニングして備えた。コンディションは最高だったが、1月のチーム始動直後は環境の変化に慣れず体調を崩した。「尋常じゃないくらい体のあちこちが痛くて、大分が合わないのかと本気で悩んだ」。不安を抱えた知念に手を差し伸べたのは新しいチームメートだった。「大分の選手は誰がというわけではないけど優しい。それはロッカーの雰囲気からよくて、グラウンドに出ても居心地が良かった」と振り返る。徐々に大分の“水が合う”ようになり、片野坂知宏監督の目指すスタイルを理解すればするほどサッカーが楽しくなった。「戦術脳が高まっている感じ。頭を使い、集中しているから練習があっという間に終わる。大分にきて新しい刺激がどんどん突き刺さる感覚だった」

 

徐々にコンディションを上げる知念慶

 

 公式戦2試合は先発出場し、チーム最多のシュートを放った。残念ながら得点に結びつかなかったが、力強くゴールを狙う姿勢は印象的だった。新たなストライカーへの期待が大きいが―といった取材を始動直後から散々受けてきた。さらにウイルスによるリーグ中断を経て、再開を前に繰り返される同様の質問に「周りが納得する結果を出すまでは仕方ない」と苦笑気味に漏らしたのはおそらく本音だ。「自分が点を取らなければ」という思いはこれまでになく強い。

 

 しかし、片野坂監督が描く攻撃のイメージは、決して知念ひとりに頼るものではない。知念が得点を取るパターンもあるが、彼の周りにFW渡大生やMF町田也真人のように前に飛び出す選手を置くと、得点の可能性は高くなると考えている。また、FW三平和司やMF小塚和季ら攻撃陣の駒は多彩なだけに、知念を軸にした展開が期待できる。

 

 「サッカーをやってなさ過ぎて何も言えない。いい感じで仕上がっていたので一度止まったことがどう影響するのか。ただ、戦術は頭に入っているので始動の頃よりはやりやすい。これから実践ですり合わせていくしかない」。誰もが経験したことがなく、知念自身も手探りの状態は続くが、彼がよりゴールに近い位置でプレーすれば、単なる得点力アップにとどまらず、チームに多くのプラス効果をもたらしてくれそうだ。

 

今季は2桁得点が目標となる

 

 

(柚野真也)

大会結果