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大分トリニータ 責任背負い挑む吉田真那斗の夏 【大分県】

大分トリニータ 責任背負い挑む吉田真那斗の夏 【大分県】

 21節・RB大宮アルディージャ戦で8試合ぶりにクリーンシート(無失点)を達成し、連敗を止めた大分トリニータ。猛暑の中でも集中力を切らさず、最後まで身体を張ってゴールを守り抜いた。攻守にわたって躍動したのが吉田真那斗だった。

 昨季途中に横浜F・マリノスから加入し、今季も迷わず期限付き移籍延長を決断。「必要としてくれたチームにいたい」と語るその言葉には、プロとしての誇りと昨季の悔しさを晴らすという強い意志がにじむ。試合に出られず苦しんだ日々を経て、大分の地でようやく得た継続的な出場機会。だからこそ、吉田は一つ一つのプレーに責任を持ち、確かな覚悟を持ってピッチに立ち続けている。

 空中戦では圧倒的な存在感を示し、守備に自信を深めた今、吉田は次なる課題として「得点力不足の解消」に意識を向け始めている。勝利への渇望とさらなる高みへの挑戦。その姿勢こそが、今のトリニータを支える原動力になっている。

 今季のトリニータは、堅守をベースに勝ち点を積み重ねてきた。一方で、得点力不足という課題が浮き彫りになっている。守備の時間が長く、決定機を生み出せないもどかしさ。吉田はそこに強い危機感を持つ。「勇気を持ってチャレンジすること。縦パスやボランチへのつなぎなど、一つ一つの判断で攻撃は変わる」と、攻守の接点に立つ自らの役割を冷静にみつめている。

身体能力の高さを発揮する空中戦

 「いい守備からいい攻撃」を戦術とするチームにおいて、空中戦の強さを発揮する吉田の存在は、守備だけでなく攻撃の起点としても重要だ。最近は「(自身の)マークが厳しくなったことで他の選手が自由に動ける」と吉田。そうした貢献にも意識が向くようになった。今では、チームの中で確かな信頼を築き上げた主力の一人である。

 「負けないサッカー」ではなく「勝つサッカー」が必要になる。守備の安定があるからこそ、次は攻撃面での進化が求められる。ピッチ内の連係や戦術理解が深まる中で、チーム全体が前進するためには、個の勇気と創造力が欠かせない。

 自らのキャリアを「順風満帆ではなかった」と振り返る吉田。だが、どんな時も努力と準備を怠らず、この大分の地でようやく継続的に試合に出場できている。その実感が、吉田の言葉とプレーに説得力をもたらす。

 真夏の厳しい戦いが続く後半戦、必要なのはもう一段階の「ギアチェンジ」だ。吉田は勝利への強い思いと責任感を胸に、一歩ずつ前へ進もうとしている。チームのために、そして自分自身がもっと成長するために。

勝つサッカーを追い求める

(七蔵司)

大会結果