
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 信じる力が未来を変えていく 柳ケ浦高校バスケットボール部監督・中村誠(前編)
バスケ
手のかかる子ほどかわいい―。そんな3年生たちだ。中津北高校女子バスケットボール部の太い柱となる3年生6人は、最後の公式戦に向けて一丸となって勝利を目指している。目標は全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)ベスト8だ。
「入学当時は生意気で、我は強いが何もできない。何度、怒ったことか」と大津留礎監督は述懐する。中学まではスターだった選手が高校になり、伸び悩む姿を何度も見てきた大津留監督は、チームの規律だけでなく、あいさつや生活態度を見直すことを求め、まずは人としての成長を求めた。「日頃の生活態度がコートに宿る」と、いち早く気づいたのはキャプテンの工藤佑美だった。「バスケは当たり前のことを当たり前にできるチームが強い。それはコートだけでなく、日頃の生活態度も含めて見直した」。先輩の言動を見習い、少しずつ気遣いができるようになった。勝負所での強気なプレーは、こうやって培われた。
大津留監督に「バスケIQはチームで一番高い」と言わしめる戸高千怜は、小学校の頃から九州や全国大会を経験している。勝ち方を知る重要な選手だが、11月に左ひざに大きなけがを負い、ウインターカップの出場が絶望的となった。それでもチームのためにできることを考え、コートの外からアドバイスを送る。
最後の公式戦に向けて思いをひとつにする3年生
戸高とはクラスでも一緒にいる時間が長かった和工田乃愛は、「なんでも話せる特別な存在だった。千怜のためにも目標の全国ベスト8を達成したい」と、決して大きくない体を投げ出し、ゴール下でリバウンド争いを繰り広げる。
和工田と同様に「明るさ、素直さ、ひたむきさ」の部訓を体現するのが木村美月。「技術でなく気持ちでプレーしたい」というチームの核弾頭は、誰よりもコートを走り回る。
ムードメーカーの永添ひなのもチームに勇気と勢いを与える存在だ。「これから大会までの時間は、迷いをなくすためにコミュニケーションをとって改善したい」と試合に向けてコート外から気持ちを高めようと考えている。これまで3年間で培った経験を下級生に伝える最後の場として、「中津北の伝統を、私たちがやってきたこと全てを見せたい」と話す。
森田月海はエースとしてプレーに専念する覚悟だ。「勝負所で得点できるプレーをしたい。速いバスケをすれば勝てる」と得点源としてチームを引っ張る。「1年生のときは監督にも先輩にもめちゃくちゃ叱られた。何もできない学年だったけど、いつも“6人ミーティング”で励まし合いながらここまできた」
今までやってきたことを全て出したい。何千本、何万本とシュートを打ってきた。「練習時間も内容もどこにも負けない。自分たちのバスケを信じて、やり切るだけ」と口をそろえる。何度も挫折を繰り返し、その度にはい上がって3年だ。「この学年のチームづくりは苦労が多かったけど面白かった。何年か経って、あのときは…と思い出話が盛り上がるんだろうな」と大津留監督。そのときの最高のネタは最高の結果でありたい。監督と3年生6人の思いは同じだ。決戦の日まで集中力を研ぎ澄ましている。
県内では無敵だった中津北
(柚野真也)
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