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ヴェルスパ大分 シーズン総括 土台固まり、柱できた1年

ヴェルスパ大分 シーズン総括 土台固まり、柱できた1年

JFLリーグ戦7位 10勝10分10敗 42得点・36失点

天皇杯 1回戦敗退

 

 須藤茂光監督がチームを率いて2年目の今季は、7位でシーズンを終了したヴェルスパ大分。2014年シーズンと並ぶ過去最高順位となった。シーズン序盤は勝ち点を積み上げることができずに出遅れた。ボールを動かし、主導権を握る昨季のベースがあったが、選手が入れ替わり思うような結果を得られずにいた。

 

 須藤監督は「ボールを動かすとリスクは伴うが、それをやめたら狙いとするサッカーはできない。まずはビルドアップのところで後ろに人数をかけて安定させることを優先した」とシステム変更に乗り出す。12節に3バックに移行し、中盤の枚数を増やすことで復調のきっかけをつかんだ。複数得点を挙げる試合が増え、上位陣相手に力負けしなくなった。

 

 シーズン中盤に先発メンバーをある程度固定できるようになってからは、ボール回しがスムーズになった。その一役を担ったのが今季FC今治から新加入したMF瓜生昂勢だった。ボールを失わないキープ力がチームに落ち着きをもたらし、中盤の底から長短のパスを供給して試合のリズムをつくった。今季全試合に出場し、10アシストを記録してチームの勝利に貢献した。

 

今季2得点10アシストした瓜生昂勢

 

 相手チームのスカウティングが進んだシーズン中盤以降は、パスワークを封じられることが多くなったが、ポストプレーで前線のターゲットとなったFW中村真人がチームを救った。「前でボールを収めることで全体を押し上げることができた。時間にして2、3秒のことだが試合を組み立てるために必要だった」(瓜生)。試合に応じて、グラウンダーの短いパスに固執することなく、長めの浮き球を中村に入れてシンプルに攻撃した。

 

 チームの土台となるスタイルが固まり、柱となる選手が定着できた。来季は須藤監督の続投が決まり、勝負の3年目となる。昨季より総得点は伸びたが、上位争いをするためにはまだまだ得点力が必要だ。瓜生のパスの受け手となり、中村の周りを衛星的に動き回れる“第2のストライカー”が出てくれば、戦い方に幅をもたらすこともできる。また、今季限りで引退を表明したDF清水大輔の穴埋めは急務である。補強を含め、Jリーグ加盟を掲げたクラブの本気度が問われる。

 

シーズン後も来季に向けて体をつくる選手たち

 

 

(柚野真也)