
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 信じる力が未来を変えていく 柳ケ浦高校バスケットボール部監督・中村誠(前編)
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今回の全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)の女子県予選に波乱なし。そう思えるほど第1シードの中津北の力が突出している。昨年のウインターカップに出場したチームの主力は3年生だったが、木下菜月(2年)や工藤佑美(3年)らもコートに立ち、現チームの主軸となりチームを引っ張っている。世代交代を感じさせないチームづくりこそが強豪校のゆえんであり、今年も勝てるチームとなっている。
中津北の強さを一概に言い表せないが、“組織力”の高さにあることは明白だ。個々の技量は確かに素晴らしいものがあるが、他チームと比べて絶対的と言えるものではない。ただ、先発5人が集まり、控えを含めて12人、そして部員全員の力が結集したときの実力値は破壊的だ。
6月の県高校総体の決勝リーグで見せた“キラー・インスティンクト”は忘れられない。直訳すると「殺人本能」。物騒な言葉だが、スポーツ界では、相手をたたきのめさないと気が済まない闘争本能といったところか。強度の高い守備で相手の攻撃を阻止して、鋭い速攻で得点を量産する。対戦相手に二度と勝てないと思わせるほどの印象を与えた。
今年も中津北は強い
あれから約半年。凶暴さが増したかと思えば、印象は違った。全国高校総体2回戦で東京成徳大学高校(東京)に71-90で敗退。「悔しい負け方をした。全国ベスト8に入るために、もう一度やり直した」と大津留礎監督。完成形に近かったものを粉々に崩し、一から新しいチームをつくっている。特に攻撃はこれまでにないほど柔軟性がある。一人一人の選手に3、4つ以上の選択肢を与え、そこに1人、2人と絡めば選択肢の数は累乗する。状況に応じて最適解を導き出す攻撃は複雑だ。
現時点では完成半ばで、「選手は答えが分からなくてヤキモキしている」(大津留監督)。それでも強豪相手と対戦する「難問」に挑戦して、丁寧に答え合わせした結果、指揮官が求める合格点に達しつつある。ただ、このテストは100点を取ることを目的としていない。競い合う相手より多く点を取ればいいのだから。今年の中津北は厄介だ。
最適解を見つけ出す答え合わせは続く
(柚野真也)
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