県高校野球選手権 投手陣でつかんだ優勝 柳ケ浦、接戦制し夏へ弾み 【大分県】
野球
鮮やかな逆転勝利で明豊が5季ぶりに栄冠つかむ 県高校野球選手権
第136回県高校野球選手権
9月1日 決勝戦 佐伯中央病院スタジアム
大分 010 300 000 |4
明豊 000 100 112×|5
新チームとなって県高野連主催の初公式戦は、今春のセンバツ出場校同士の対戦であり、くしくもセンバツにつながった昨年の秋季九州地区大会県予選決勝と同カード。このときは明豊が11-6で大分に大勝した。
約1年ぶりの両者の対決は、序盤から明豊がリードを許す展開が続いた。今大会は「甲子園で優勝するために、いろんな選手を使って試して勝つ」(川崎絢平監督)と位置付けたように、投手起用やオーダーを組み替えての試運転だったが、勝負へのこだわりは強かった。
昨年もエースナンバーを背負い、明豊史上初の投手で主将となった若杉晟汰(2年)は、「リードされても絶対に取り返す雰囲気があったし、負ける気はしなかった」と話す。自身は四回2死、2人の走者を背負った場面で緊急登板。適時打を浴び、4点差に広がったがその後は安打を許さなかった。「欲を言えば、あの場面も抑えてほしかったけど、まだこの時期なんでね。ただそれ以降は安定していたし、攻撃に専念できた」(川崎監督)
これ以上、点を与えることはない。エースがそんな空気をつくった。圧巻だったのは2点差に追い上げた8回、三者連続三振で打線の奮起を呼び起こすと、9回に鮮やかな逆転勝利で試合を終えた。若杉は「この勝利で調子に乗るようなやつはいないが、これからも一戦一戦全力を出し切り、全ての大会で優勝する」と、この夏、夢半ばで終わった日本一への強い思いを口にした。
5季ぶり9回目の優勝を手にした明豊は、幸先の良いスタートを切った。
新チームになって最初のタイトルを手にした明豊
敗れた大分は「打倒・明豊」の雪辱を果たせなかったが、あと一歩まで追い詰めた。相手投手の不安定な立ち上がりを攻め立て、先制、追加点と理想的な展開に持ち込んだ。エース若杉を力で引きずり出し、真っ向勝負。「狙い球を絞ったが、もう一歩踏み込んで打てなかった」と松尾篤監督は悔しさをにじませたが、「戦力が整っていない中、今大会を乗り切ったことは大きい」と手応えを感じている。
準決勝、決勝とエース飯倉優侃(2年)を抑えに回し、2番手、3番手候補の投手が先発マウンドに立ち、好投した。打線は4番の福山誠(2年)を軸に強い打球を打ち返せている。死球で田中颯悟主将(2年)が途中交代するアクシデントがあったが、「(センバツに出場した)先輩のまねはできないが、初球からフルスイングし、打ち勝つ野球を目指せている。チームの方向性は間違っていない。秋の大会に向けてまだまだ成長できる」(田中)と話した。
新チームになった各校の戦いは始まったばかり。14日から開催する秋季九州地区大会県予選でのシード権を手にした明豊、大分を軸に熱戦が期待できそうだ。
決勝で先発好投した大分の井上洸希
(柚野真也)