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全国高校野球選手権大分大会 大展望

全国高校野球選手権大分大会 大展望

 きょうから「第101回全国高校野球選手権大分大会」が始まる。杵築-日田三隈の開幕カードを皮切りに、1回戦から好カードが目白押し。最後に優勝旗を掲げるのは果たしてどのチームなのか。

 

 トーナメント全体を4ブロックに分けて、それぞれ展望していく。

 まずは大分から中津南のブロック。注目は、大分と大分工業だ。春のセンバツに出場した大分は、エース長尾凌我(3年)が投手の軸。安定感があり、大きく崩れることがないので計算しやすい。小学生の頃からバッテリーを組む江川侑斗(3年)との信頼関係は揺るぎない。また、主力の大半が大分中学のリトルシニアからそのまま高校に上がったメンバー。“6年間”の集大成としてセンバツではなく、夏の甲子園で終わりたいとの思いが結束力をさらに強くしている。春の九州地区大会に28季ぶりに出場した大分工業は、粘りの野球を信条とする。山本一孝監督の「野球は後半勝負」の教えを体現すべく、例え前半戦にリードを許していようと、集中打を浴びせ試合をひっくり返す展開は、見ていて面白い。右腕の日高翔太(3年)の出来が勝敗に直結しそうだ。

 

 津久見から大分鶴崎のブロックは、第2シードの津久見が引っ張る。抽選会が終わった後に、近藤龍美主将(3年)が、「平成では甲子園に出ていないが、令和となり津久見の名を全国に広めたい」と語った言葉に古豪復活への並々ならぬ思いを感じる。主力のけがが心配であるが、総合力の高さで31年ぶりの甲子園出場を目指す。ただ、このブロックは実力校がそろう。鶴崎工業、佐伯鶴城の甲子園出場経験校に加え、三重総合、投手三枚看板がそろう大分舞鶴、そして1回戦屈指の好カードである大分東明と前大会覇者の藤蔭との対戦は注目が集まる。

 

 

 日本文理大学付属から大分豊府のブロックで注目したいのは、大分国際情報、大分商業、情報科学。“ストップ・ザ・文理付”を胸に真っ向勝負を挑んでくるだろう。それぞれ総合力が高いが選手個々の力もあり、“激アツ”なブロックとなりそうだ。力ある刺客を迎え撃つ文理付は、伊志嶺吉盛監督のひとつの集大成のチームとなった。「3年で甲子園で戦えるチームをつくる」と宣言した伊志嶺監督が、3年かけて鍛え上げた選手たちの覚悟、思いは強烈だ。切り込み隊長の東門寿哉(3年)、大エース翁長佳辰(3年)を投打の軸に大暴れしそうな予感はある。

 

 明豊から大分西のブロックは、今大会も優勝候補筆頭の明豊。直近の10年間で4度の優勝を誇る。全国に名をとどろかせる強豪は、今春のセンバツでベスト4と結果を残した。大きく、強く振るを合言葉にしっかりタイミングを取って、下半身を使ってフォロースルーなども大きく振り切る。どんなプレースタイルのバッターにも同じように要求し、“強打の明豊”が代名詞となった。しかし、今年は完投できる5人の投手を擁し、これまでの明豊と異なる印象を受ける。「ピッチャーがいいとバッターが甘える」と川崎絢平監督は危惧するが、鬼に金棒。センバツで勝ち上がったように投手が試合をつくり、集中打を浴びせて勝ち上がる必勝パターンに持ち込めば、中津東らの追随を許さないだろう。

 

 今大会は梅雨入りの遅れと大雨の影響で、最後の調整が思うようにできず不安を抱えての開幕となる高校は少なくない。ただ、連戦をこなし勝ち上がることで一気にチームがまとまりをつかみ、上昇曲線を描いていく選手、チームが生まれてくるはずだ。高校3年生にとって最後の大会、この夏に懸ける思いを見届けるのも、楽しみのひとつであることは間違いない。

 

 

(柚野真也)