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敗者の涙③  全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)女子県予選 情報科学 後輩に思いを託しコートを去る3年生

敗者の涙③  全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)女子県予選 情報科学 後輩に思いを託しコートを去る3年生

 2月の県高校新人大会で過去最高順位の3位となり、全国への思いは一層強くなっていた。7月の県高校総体ではベスト8と悔しい結果となり、そのリベンジを体現するかのように、全国高校選手権大会(ウインターカップ)県予選の準々決勝では、県高校総体ベスト4の大分鶴崎に30点以上の大差をつけ勝利。大会前にキャプテンの庄本萌音(3年)が「決勝戦で中津北と戦いたい」と話していた目標地点まで1試合。準決勝では県高校総体で初優勝した大分と対戦した。

 

 序盤から個人スキルの高さで得点を重ねる大分に対してしっかりと食らいつき、前半を11点差で折り返したが後半に失速。庄本が「後半は気持ちが切れてしまった」と振り返ったように、第3クオーター(Q)で得点差が徐々に開いてしまうと、前半の勢いを失う場面が増えた。軸となる庄本とセンターの植木詩織の3年生コンビが封じられ、得点が伸びない。第4Qでは最後の力を振り絞り追い上げを見せたが、最後まで追いつくことができなかった。

 

得点源としてもチームを引っ張った庄本萌音

 

 井上聖也監督は、「いつも通りの試合はできたが、悪いときの“いつも通り”も出てしまった」と試合を振り返った。それは、チームの柱である庄本にボールが集中すること。チーム内でも経験値の高い庄本は、大分のディフェンスに動じることなくカットインで得点を重ね、ファウルも誘ったが、強引な場面も多かった。県高校総体後は庄本自身も「もっと周りを見てプレーしたい」とそれを反省材料として自覚していたが、大分の強度の高いディフェンスに阻まれた。それでも井上監督は、「苦手意識の強かった大分に対し、今日は勝てると自信を持っていた。強い気持ちを持てるようになったのは成長の証」と選手たちの健闘をたたえた。

 

 庄本は「1対1でも勝てる自信はあった。悔しいけど、これが自分たちの実力。私を信頼してくれていた監督の期待に応えたかった」と涙を拭い、監督への感謝を口にした。さらにけがを抱えていたチームメートへの気遣いも見せ「決勝でユニホームを着せてあげたかった」と話した。実力を出し切れなかった植木は、「自分より(身長が)低い相手にリバウンドを取られてしまった。いいところが出せなかった。みんなを東京に連れて行きたかった。後輩には大分ナンバーワンになってほしい」と次の世代にその思いを託す。3年生の2人がそろって語ったのは「仲のいいチームでバスケができて楽しかった」ということ。目に涙を浮かべながらも笑顔で高校生活最後の試合を終えた。

 

チームの軸となった植木詩織

 

 

(黒木ゆか)

大会結果

2023年度