一般的に、チーム作りや補強は幹から枝へと流れていくのが主流。幹で君臨する選手を追い越して枝が周囲の目に留まるには、強烈な武器が必要になる。西埜植は、大卒１年目で所属したFC今治（当時はJFL）で、恩師と慕う吉武博文氏（大分県出身、元U－15日本代表監督）に出会い、「これまでのSBの概念が変わり、自分の武器が明確になった」。SBとして必要な思考と個人戦術を学び、空いたスペースを見つけ、飛び込むことで飛躍的に攻撃力が増した。

　「スペースアタッカー」となった西埜植は、2020年から大分に加わり自分の武器を強固なものにした。大分は、FW中村真人、DF浦島貴大、GK姫野昂志と30代のベテランが安定感のあるプレーでセンターラインを築いていたが、西埜植はサイドからドリブルで割り込み、ワンツーを仕掛けて自らシュートも打つ。そんな展開を頻繁に繰り出し、西埜植を絡めたスピーディーなサイド攻撃は、チームの「太い枝」となった。「残り試合は誰よりも走ってチームの勝利に貢献したい」。西埜植は攻守にわたってアップダウンを繰り返し、サイドを制圧するつもりだ。「サイドを制するものが試合を制す」というサッカーの格言を体現する。

「残り試合は全勝を目指す」と語った

（柚野真也）