監督の哲学① 「判断は一つではない」大分東明高校ラグビー部・白田誠明監督

2020/03/12
  • HEADLINE

 監督インタビュー企画が新たにスタート。自身の現役時代から指導者に至るまでの過去を振り返り、現在の指導法、今後のビジョンについて語る。第1回は大分東明高校ラグビー部の白田誠明監督。2017年から連続で全国高校7人制ラグビー大会に出場し、昨年末には同校初となる全国高校ラグビー大会出場に導いた指揮官は、いまも試行錯誤を繰り返している。理想の監督像も見えてきた。

型にはめないスタイルを築く


 2010年に大分東明高校に赴任し、コーチを経て12年から監督となった白田誠明監督。「選択肢は多い方がいいし、判断は一つではない」と戦術の幅を広く持ち、攻守において型にはめないスタイルを築いている。「毎年、何十人も選手が入れ替わり新しいチームになる。チームは生き物。その時々の強みを生かせるチームづくりをしないと力は発揮できない」との思いは強い。

 

 監督には大きく分けて二つのタイプがある。自分が持つ考え、システムを持ち込むタイプと、もう一つは、現有戦力の中で最適なシステムを探すタイプだ。白田は後者の手法でチームをつくる。話を聞けば、昔は前者だったようだ。

 

 小学4年から中学3年まで剣道一筋だった白田がラグビーと出合ったのが大分舞鶴高校に入学してからだ。「ずっと個人競技だったので、団体競技でみんなでつくり上げることに興味を持った。やるからには強い部活に入ろうと決めていた」とラグビー部に入部。「当時は走ってナンボの練習ばかり。上下関係も厳しく、理不尽なこともあったが、あれがあるから今でも多少のことではくじけない」。厳しい状況が同級生との絆を強くし、困難を乗り越える術を身につけた。「下級生のころの合宿では、起きてすぐに練習場に行けるように次の日の練習着を着て寝ていたことも今ではいい思い出」と笑う。元々、負けん気が強く、身体能力も高かった。メキメキと頭角を現し、プロップのポジションを奪うと、3年時には全国高校ラグビー大会でベスト8入りに貢献。中京大学に進学後もラグビーを続け、卒業後は母校の大分舞鶴高校で講師をしながらコーチとなり、指導者となる。

 

 「若いときは自分の理想の型に選手をはめ込むような指導をしていた。型にこだわり、その型にならなければダメじゃないかと否定的な指導だった」と反省する。絶対的な型はハマれば強いが、かみ合わなければもろい。試合ではあらゆる場所で不測の事態が起き、状況が一変する。「全国で1、2回戦は勝つがベスト8の壁は破れない。選手の素質があっても勝てない。僕自身に問題があると思った」。そこから全国制覇を成し遂げたチームの練習を見学し、指導者と話しているときに「選択肢は多い方がいいし、判断は一つではない」と気づかされた。

 

大分東明初の全国大会に導いた白田誠明監督

 

  • LINEで送る

関連記事

ページトップへ