それぞれの選択② 陸上女子棒高跳び 金子絵美里(大分西高校3年)
2019/09/19
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明朗快活。明るく前向きに練習に取り組み、周りを元気にする。コーチの立場からすると教えがいのある選手だった。「のみ込みが早く、直感でなんでもできた」(汐月コーチ)。中学3年時には全国ランキングベスト10入りし、高校1年時に一気に記録を伸ばす。3㍍70を飛び、周囲の期待は高まった。金子自身、全国大会や強化合宿に参加するたびに、競技レベルが高く、向上心の高い選手と時間を過ごすことで日本一を意識するようになった。
しかし、突如陥ったスランプは深刻だった。高校2年になった頃、自己ベストが止まった。金子は「結果が出ない焦りから、バーを持つことも、踏み切ることも怖くなった。練習不足になり負の連鎖が続いた」と振り返る。楽しかった練習が苦痛でしかなくなった。葛藤を抱えたまま時間だけが過ぎる。悩んだ末、いつも傍らで指導してくれた汐月コーチに悩んでいること全てを吐き出し、時間をかけてそしゃくし、原点に帰った。「棒高跳びは周りと争うのではなく自分との戦い。記録は練習すればするほど伸びる」。1年かけてたどり着いた答えはシンプルだった。
「悩んだ時期があるから今がある。最後の3ヵ月は楽しむことができた。これからは選手を支える立場になりたい」。汐月コーチら多くの陸上関係者から現役続行を望む声があったが、未練はなかった。最後の大会を終えて1週間後。文化祭のステージにはMCの大役を任せられ、バック転を披露する人気者の姿があった。残りの高校生活を満喫し、理学療法士の夢をかなえる道に進む。
今後は選手を支える仕事を目指す
(柚野真也)