データをベースに準備着々 世界で戦う穴見知典(ウインドサーフィン)

2020/05/07
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 トッププロとして活躍するウインドサーフィン の穴見知典は、本来であれば世界を転戦しているはずだったが、新型コロナウイルス禍が落ち着くまでホームの住吉浜リゾートパーク(杵築市)で調整することになった。「想定外だが何をすべきかを考え、今はそこに集中するだけ。予想外の状況になって、むしろ集中力は高まるし、新しいことが生まれるかもしれない」と自然体だ。セイルで風をつかむように、世の中の流れに身を任せている。

 

 新型コロナによる競技日程の変更も、「想定外」という点ではウインドサーフィンに似ているかもしれない。自然を相手にする競技だ。突風もあれば穏やかな波もある。「その都度ベスト判断をしなければいけない」と想定外を受け入れ、これまで戦ってきた。学んだのは綿密なレース戦略。「自分の体調はもちろん、道具のチューニング、風の強さに方向、対戦する選手の大会ごとの各成績をチェックして戦略を立てる」。その成果が出たのが「2年前のワールドツアー」と振り返る2018年のドイツ・シルトで行われた「スーパーグランドスラム大会」。この大会でその年のPWAワールドツアーが終了したのだが、穴見はフォイルで初代ユース・ワールドチャンピオンになった。スポンサーの話が舞い込むようになり、劇的に環境が変化した。

 

 2015年、18歳でPWAワールドツアーにデビューして以来、ずっと世界最高峰の舞台で戦ってきた。「勝てない時期が長かった」と振り返るが、焦りはなかった。若くして世界に出ると、本人だけでなく周囲からの期待が高まりすぎて、冷静に物事を見られなくなりがちだが穴見は違った。「目の前の結果を追うより、まずは自分のスタイルを確立することを優先した」。まず手掛けたのはウインドサーフィンの“本質”を知ることだった。不確定要素の多い競技だからこそ、「道具の仕組みを徹底的に理解し、テクノロジーを磨いた」。普段の練習のときからGPSと感性センサをつけ、セイルの角度や衝撃、ボードのロールピッチなどを調べ、その度にパソコンに取り込み分析した。風をつかむ、海を滑るなど、感覚的だったものを数字で語れるようになり、動きを把握し技能の向上につなげた。

 

理路整然と技術論を語る穴見知典

 

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