熱戦を彩ったヒーローたち 夏の甲子園予選 その2

2018/07/29
  • 高校野球

フォア・ザ・チームを体現したリーダー

 

熊懐郁祐(藤蔭高校3年)

173cm、75kg、田主丸中学校(福岡)出身

 

 明豊の管大和がプレーでチームを引っ張るキャプテンなら、優勝した藤蔭の熊懐郁祐はメンタルリーダーである。原秀登監督は「私が思っていることを口にしてくれる。時には言いにくいこともあっただろうけど、チームのために自分を犠牲にできるリーダー」と絶大な信頼を寄せる。

 野球が誰よりも好きで、グラウンドでは一番大きな声を出す。チームを引っ張り、仲間を盛り上げ、一番真面目に練習し、誰よりも努力する。時には嫌われ役も買って出た。練習後の自主練習を早めに切り上げるチームメートに、「お前の限界はこんなもんか。まだまだやれるやろ」と厳しい口調で言い放った。「アイツがバットを振っていたから僕も負けずに振った」と橋本和真(3年)が話すように、チームに与えた影響は大きかった。

 今大会は出場機会がなく3塁ランナーコーチが定位置となったが、相手の守備位置を的確に判断し、情報を走者に伝えた。守備時にはベンチの最前列に位置し、身振り手振りで仲間を応援した。試合後は声がかすれ、聞き取れないことは茶飯事。

 自分のこと以上にチームのことを考えるキャプテンは、優勝が決まった瞬間は大粒の涙を流し、チームメートと抱き合った。仲間から祝福の胴上げをされ、さらに泣いた。「今大会は試合に出られなかったが、甲子園ではプレーでチームの勝利に貢献したい」と強い覚悟と与えられた仕事に責任を持って、さらなるレベルアップを続ける。その姿勢がチームに好循環をもたらす。

 

 

(柚野真也)

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