トリニータ 真面目さが裏目に… 秩序のある自由が必要

2021/05/14
  • 大分トリニータ

 最近の練習では、いい意味でピリッとした緊張感があるという。「要求を突きつけ合うことが増えた。球際や切り替えが甘いと厳しい声が出ている」とは副キャプテンの長谷川雄志。それら練習の成果が形となったのが清水戦。最終ラインを高く設定し、敵陣から守備を仕掛けることで全体がコンパクトな陣形となった。ピッチの各地で選手の意思疎通が感じられ、統制のある守備から攻撃がスムーズになり勝利を収めた。しかし、湘南戦ではシステムを変更したことで立ち位置が変化し、微妙なズレが生じた。守備がハマらず、球際や切り替えなど、1対1の局面で上回られたときの柔軟な対応ができなかった。片野坂監督は「うまくいかないときのプランを持っていなかった自分の責任」と悔いたが、ハーフタイムを挟んでもなお立て直せなかったのは、やはりチームとしてのコミュニケーションに課題があったと言わざるを得ない。

 

 片野坂監督のサッカーは、ピッチのどこにボールがあるかを踏まえて、選手たちが的確な位置をとることで成り立つ。ただし、立ち位置や距離感など、細かい部分は最終的にピッチ上の選手たちで判断しなければならない。チーム作りは“秩序のある自由”が大事であり、その片方だけでは難しい。片野坂監督は「狙いとするベースはあるが思い切って表現してほしい」と話し、松本は「選手個々の柔軟性が必要」と語る。

 チームを構成するための秩序と、選手個々を生かすための自由。この二つのバランスが合致すれば、残留争いから抜け出すことは困難なことではないと思っている。

 

苦悩が続く片野坂知宏監督

=写真は大分トリニータ提供=

 

 

(柚野真也)

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