TURNING POINT 〜つきぬけた瞬間〜 #04 「箱根駅伝で5連覇、6連覇を達成する」(竹石尚人・青山学院大学)

2018/03/25
  • ターニングポイント~つきぬけた瞬間~

 決して無理をさせない秦監督の指導方針もあり、竹石は3年間けがすることなく、「最初に声を掛けてくれた」原監督の待つ青山学院大学に入学する。全国的には無名だったが、「青学は憧れの存在でレベルが高かったけど不安は全くなかった」。秦監督からは「お前には伸びしろを十分過ぎるほど残している。最高の環境で成長してこい」と送り出された。しかし、気持ちが入り過ぎたのか無理をして、入学して間もなく大きなけがをする。半年間ほど練習できない時期を過ごした。普通の選手であれば、落ち込んだり、腐ったりするものだが竹石が違った。「俺は大学生活を楽しむことに気持ちを切り替えた」とキャンパスライフを満喫した。

 

 走ることはできなかったが、もちろん駅伝部の練習には顔を出し、原監督や先輩から声を掛けてもらったことがうれしかった。「経験豊富な人たちが俺の力を認めて支えてくれた。駅伝を辞めようと思ったことは一度もないし、ポジティブにリハビリができた」

 

 2年生になり競技に完全復帰。大分で昨年行われた強化合宿で復活をアピール。強い選手と高いレベルで競うことでメキメキと実力をつけ、頭角を現す。「ようやく自分が目指していたステージに立てた。ここで結果を出さなきゃと気合いが入っていた」。出雲全日本大学選抜駅伝競走のメンバーに入り、「山の適性があると感じた。けがで走れない時期を経験して精神的にも成長した」(原監督)と憧れの箱根駅伝では往路山上り5区に抜擢された。

 

 箱根の舞台を走った竹石は、緊張もあっただろう。これまで経験したことのない歓声に包まれ、ハイペースで走った影響もあり、後半は足がけいれんし何度か立ち止まった。それでも諦めずに1時間12分49秒の区間5位で走り切り、青山学院大学の4連覇に貢献した。「あれは最低限の走り。この1年間しっかり練習できれば、あれ以上に走りはできる」と自信を示した。

 

 箱根駅伝後はコンディションを落とし、走れない時期もあったが、故郷の強化合宿では元気な姿を見せた。「ここが俺の陸上人生の原点。ここから新しいチームのスタートが切れることは幸せ。これまでは下級生という感じだったが、これからはチームの主軸として過ごしたい。ここまでは出来すぎた部分はあるが俺には箱根をあと2回走るチャンスがあるので、5連覇、6連覇を達成するのが目標」と貪欲な姿勢を強調した。

 

チームの主軸として引っ張ると決意表明した

 

(柚野真也)

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