監督の哲学⑤ 「選手が使命感を持つ雰囲気をつくりたい」大分高校女子ハンドボール部・滝元泰昭監督

2020/04/30
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勝負に甘さは禁物、規律は必要

 

 ようやくチャンスを手にしたのが28歳の時。大分中学・大分高校がハンドボール部の創部とともに強化を掲げ、声が掛かる。滝元は中学男子部の監督を任された。「生徒もその親も覚悟があった。1期生から関われたことが大きかった」と新しい歴史をつくることにやり甲斐を感じた。生徒と初めて対峙したとき、「日本一を経験している感覚でプレーのことや気概を話しても通用しない」ことを知る。もどかしさを感じたが、「継続して言い続けること、やり続けること」を教えられた。それでも育成年代の中学部の指導は楽しかった。「あくまでも高校やその先につなげる役割。ギリギリ勝負しなければいけないときでも、とりあえずチャレンジしろと言えた」

 

 一方、高校年代では結果が求められる。なぜなら、「高校3年間で競技を辞める生徒がいるし、結果が将来につながる生徒もいる」。勝ちから得ることは大きいからだ。そのためには譲れない指導理念がある。「筋が通ってないことは許さない」。理由もなく練習を休むことや規律を守れない生徒は、どんなに実力があっても試合には使わない。頭が固い、完璧主義者だと思われるがそうではない。滝元はチームに「自由」というある種のだらしなさを見て取り、「抜け」をつくるまいと考えているのだ。チームとしての約束事は、全員がそろって遂行することで成果となって表れる。ハードワークを基盤とする守備が誰か一人でもサボると、そこに穴ができるように。選手として、監督としても日本一になった滝元は、「抜け」の少なさが試合を勝ち抜く武器になることを知っているのだ。勝負に対して甘さやそつがない。

 

 滝元に強いチームの条件を問うと、「もう少し先にならないと分からない」と返ってきたが、ヒントは無形の財産ということなのか。「入部してきた生徒がチームの雰囲気というか空気を感じて、やらなければいけないという使命感を持つかどうかが大事だと思う」。全国大会の出場が当然となり、日本一を宿命づけられたチームになるにはあと少し時間がかかりそうだが、昨秋の県高校新人大会で負けた時、ある生徒が担任に「ヤバイ、負けてしまった。私たちの代で負けた」と話すのを聞いた時、伝統校、強豪校に近づきつつあると感じた。

 

 自分自身の成長も止めるつもりはない。「まだまだ自分に足りないことは多い。新しいことを取り入れ、いろんな指導者の話を聞きたい。学ぶことをやめたら視野が狭くなる。指導者は指導することを教えてもらったことがない。だから学ぶしかない」。探求心と選手、監督で日本一になった経験で培われた指導論は確かなものになっている。育成年代の日本代表監督がそれを発揮する機会かもしれない。

 

 

プロフィール

 

滝元泰昭

1983年4月26日生まれ、AB型、明野中学→大分国際情報高校→大阪体育大学

指導者として譲れないものは?

筋が通ってないこと、規律

勝てるチームの条件とは?

選手が自主的に使命感を持ったチーム

高校生の自分にアドバイスするなら。

もっと我を出していい。どうしても客観的に見てしまい、バランスを取っていたので

自己分析バロメーター

攻 撃 的○○●○○守 備 的

個 人  ○○○●○組 織

スペクタクル○○●○○リアリズム

理 論 派○●○○○感 覚 派

 

 

(柚野真也) 

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