熱戦を彩ったヒーローたち 夏の甲子園予選 その1

2018/07/28
  • 高校野球

今大会No.1左腕の称号に偽りなし

 

大神裕貴(佐伯鶴城高校3年)

174cm、75kg、佐伯南中学校出身

 

 「悔しい思いはあるが悔いはない」と涙を流しながらも笑顔で答えた大神裕貴。夏の甲子園予選の前哨戦となる5月の県選手権では4試合全てに先発し、優勝投手となった左腕だが、今大会は準決勝で姿を消した。

 ピンチでも動じない精神力とキレのある変化球でエースの大役を担った。常にベストの調子はあり得ない。それでも格好をつけるのがエースだ。そんな投球を今大会で見せてくれた。どの高校も大神対策を練り、直球、スライダーを狙い球にされることが多かった。長いイニングを投げるために有効なチェンジアップを軸にした組み立てに解を求めた。抜いた球で打者のタイミングを狂わせ、要所で3種類のスライダーを投げ分け凡打の山を築いた。

 初戦となる2回戦の日本文理大附では尻上がりに調子を上げ、勝利に貢献。続く3回戦・佐伯豊南の同地区対決では、野球を始めた頃から切磋琢磨した元チームメートが集まる対戦相手と真剣勝負を楽しんだ。連投が続くも準々決勝の鶴崎工業戦も先発として試合をつくり、大崩れすることはなかった。

 しかし、準決勝の藤蔭戦では連投の疲労が一気に出た。「疲れはあったが問題はなかった」と言い訳を口にしなかったが、いつもの球速、キレはなかった。走者を背負ってから粘りの投球こそ大神の持ち味であったが、ボールが先行し、配球も単純になり、最後までスイッチが入らなかった。10安打を許し、無念の5回途中降板。惜しくも決勝進出を逃したが、今大会No.1左腕の称号は彼のものだった。

 

 

(柚野真也)

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