ラストバトル〜3年生、最後の戦い〜 ラグビー 両校優勝、大会3連覇を成し遂げた大分東明

2021/11/20
  • 冬の全国大会

 攻守ともに大きな成長を見せた東明。その後も自陣ゴール前で舞鶴の猛攻を防ぎつつ巻き返しのチャンスを狙ったが、追加点を奪えずノーサイド。史上初の「同点両校優勝、代表権は抽選で決定」という事態に会場がざわめいた。

 抽選に臨むキャプテンの馬越涼(3年)が抽選室に入った後、祈るように手を合わせ、天を仰いだ東明ラグビー部員たち。馬越に全てを託し、見守るしかないもどかしさ、勝ち切れなかった悔しさ、花園出場への渇望…。複雑で一途な、痛いほどの思いが伝わってきた。抽選が終わり、最初に出てきたのは舞鶴のキャプテン島正輝(同)。無言、無表情、結果は見えない。次に姿を見せた馬越は、仲間の顔を見た瞬間に泣き崩れた。それで全てを悟ったのだろう。部員たちは一斉に馬越に駆け寄り「お前のせいじゃない、お前のせいじゃない」と繰り返し、力強く抱き締めた。3年生にとっては最後の冬。悔しくないわけがない。けれど、それを口にする部員は誰一人いない。そこには東明モットーである“エンジョイラグビー”を通して紡いだ確かな絆があった。

 

 試合後「県総体から大きく成長したと感じる試合だった。同等以上の戦いができたと思う」と選手をたたえた白田誠明監督。3年生には「君たちは負けてない。先輩の思いを引き継いでしっかりと(優勝を)成し遂げてくれた。途絶えたことは何もない。胸を張って卒業しなさい」と声を掛けたという。

 涙を拭った馬越は「今回の試合には、下級生もたくさん出場した。この試合で経験したことを後輩に伝えてほしい」と後輩に思いを託し、会場を後にした。 

 

代表権は獲得できなかったが、3連覇を達成した大分東明

 

 

(甲斐理恵)

 

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