3年生、冬物語 vol.2 バレー女子 3度目の正直で手にした日本一 荒木彩花(東九州龍谷3年)

2020/01/16
  • 冬の全国大会

 確かな手応えと自信を手にしたが、帰国直後の全国高校総体で準々決勝敗退。立派な成績ではあるが日本一を宿命づけられた東龍においてふがいなさだけが残った。「技術うんぬんの問題ではない。勝ちたい気持ちが足りなかった。3年生がもっと引っ張らなければいけない」。敗戦直後、温厚な荒木が怒りをあらわにした。その日から荒木は変わった。マネージャーの古賀結衣(3年)は、「まとまらないチームを率先して引っ張ってくれた。プレーだけでなく、強い言葉で厳しく接した。嫌われ役になってもチームが勝てばいいという思いがあった。この1年で一番変わったのは彩花だった」と振り返る。日本一になるために本気の挑戦がはじまった。

 

 チームは1年生がコートに立つ時間が長く、経験不足は否めなかったが、荒木は下級生に対して、「ミスを恐れなくていい。私がカバーするから思い切りプレーしていいよ」と優しく声をかけ、同級生に対しては「コートに立てなくてもできることはある。私たち3年10人で盛り上げていこう」と呼びかけた。荒木の強いリーダーシップがチームを“ワンチーム”にした。目指す方向が一致すれば強い。秋の茨城国体では宿敵・金蘭会が主体となる大阪代表に勝利し、準優勝。あと一歩及ばなかったことが春の高校バレーでの快進撃につながった。「日本一になる最後のチャンス。負けるわけにはいかない」。強い思いは初戦から決勝までの5試合、途切れることはなかった。全速力で駆け上がった優勝。荒木は「みんなで勝ち取った日本一。最強のチームです」と胸を張った。

 

 最高の形で高校バレーの幕を閉じた荒木は、卒業後は実業団チームでプレーする。「全日本を目指したい。自分からアピールするのではなく、代表に呼びたくなる選手になりたい」。絶大な存在感を世界に示す戦いがはじまる。

 

優勝を決めた瞬間、喜びを爆発させた

 

 

(柚野真也)

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