春の高校バレー 東龍が8年ぶり優勝 受け継がれる伝統の精神

2020/01/14
  • 冬の全国大会

 日本一を決めた瞬間、ベンチから選手が駆け出し、荒木を中心に歓喜の輪が広がる。荒木は、「やっと優勝できた。2年間はあと一歩のところで涙をのんだが、3度目の正直で日本一になれた。全員で勝ち取った優勝。胸を張って大分に帰れる」と大粒の涙を流し、喜んだ。

 

 日本一への道のりは決して平坦ではなかった。新チームになって初の公式戦となった1月の県高校新人大会、決勝戦はフルセットまでもつれ込んだ。3月には長年チームを率いた相原昇監督が22歳以下の日本代表監督となりチームを離れ、チームに動揺が走る。全国高校総体では予選で苦戦し、本戦ではベスト8。日本一を宿命づけられたチームに陰りが見えたが、ここからV字回復。「選手は不安だったと思うが荒木を中心にまとまった。これまで継続してきたバレーをすれば勝てると腹をくくってくれた」と竹内誠二監督。粘り強くつないで、テンポの速い高速バレーで相手の的を絞らせなかった。

 

 自分たちのバレーボールを突き詰めた結果が国体準優勝となり、「最高の舞台で最高のバレーをしてくれた」(竹内監督)。春の高校バレーでは準決勝までセットを落とすことなく勝ち上がり、2年連続決勝で敗れた宿敵・金蘭会(大阪)との準決勝にフルセットの末に勝利。全国3852校の頂点に駆け上がった。「悔しい負けを知って強くなれたが、後輩には勝ち続けてほしい」と荒木はバトンを託した。

 

 一度の日本一では満足できない。室岡は「連覇を目指す」と宣言。勝利への飢えと向上心。監督が変わり、毎年新チームになっても、その根底は変わらない。これまで先輩たちが守り続けてきた伝統は、脈々と受け継がれている。この精神がある限り、常勝軍団は勝ち続ける。竹内監督の下で手にした今回の日本一はその新たな栄光への第一歩となるかもしれない。

 

試合後は笑顔がはじけた

 

(柚野真也)

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