バサジィ大分 お待たせ今季初勝利。ベテランふたりが大仕事

2017/06/26
  • バサジィ大分

 ホーム開幕戦となる3節ヴォスクオーレ仙台戦。バサジィ大分は常に追いかける苦しい展開だったが、33分に原田が同点ゴールを決め、その1分後に山蔦の逆転ゴールで3−2とし、今季初勝利を挙げた。

 

 1点差を追う終盤、勝負の機微(きび)を知るベテランふたりが大きな仕事をやってのけた。ひとりは原田浩平。ゴール前、ボールのおさまり所となるポストプレーで攻撃の起点となっていたが、勝負に出た。「ひとつ前のプレーでシュートまでいけなかったので次こそはと思っていた」。左サイドから中央に切り返し、相手を背負いながらターンする得意の“コウヘイ・ルーレット”で見せ場をつくる。一連の流れから放ったシュートは、この日34回目を自ら祝うバースデーゴールとなり、チームに勢いを与えた。

 

 もうひとりは35歳の山蔦一弘。原田のゴールで刺激を受けた。「チャンスは作れていたので、あとはゴールだけだった。浩平がゴールを決めてチームの雰囲気が良くなり、会場の空気が変わった」と同点ゴールから1分後に、開幕から3試合連続となるゴールで逆転に成功した。細工なしに奪ったゴールにその思いが表れていた。「チームを勝利に導くゴールがほしかった」と、この日も味方のパスを信じ、愚直なまでに何度もゴール前に顔を出し続けた成果が形となった。

 

 リードしてから残り5分は守備に徹した。相手のパワープレーにも屈せず、「戦術より気持ち。相手のボールをはね返すことだけ考えた」と山蔦。コートで必死にボールと相手選手に食らいついていた。体力や身体のキレは往時とは比べようもないが、気力や勝負への執着心、チームやゲームのコントロール能力はいささか変わらない。山蔦も原田も今季からバサジィに加入したベテランだ。両者とも日本代表の実績があり、前所属クラブからコーチとしての慰留があったが、本人たちはあくまでもプレーにこだわり、新天地を選んだ。

 

 ベテランふたりのゴールで、チームに今季初勝利を呼び込んでみせた。「こんなに1勝することが難しいとは思わなかった」と原田が話せば、「チームもほっとしたところがあると思う。どのチームでも1勝するのは大変だから」と山蔦。試合後、ふたりを中心に広がる歓喜の熱いうねりは、いつしか会場全体を覆っていた。まさに全員一丸となってつかんだ記念すべき1勝。渾身のナイスゲームだった。

(柚野真也)

 

同点ゴールを決めた原田浩平選手

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