最終戦で手に入れたJ1昇格 快進撃を続けてきたトリニータの足跡をたどる

2018/11/17
  • 大分トリニータ

 ただ、順風満帆だったわけではない。リーグ戦を折り返したあたりから対戦相手もゴールキックからパスをつなぐ大分のスタイルを研究し、対策を練ってきた。思うようにパスが回らず攻撃が停滞し、ミスから失点する場面が増え、21節から5試合未勝利が続いた。

 

 この難局に片野坂監督は「大枠はあるが、相手に合わせた対応を考えながら、それぞれがプレーしやすいようにした」と選手の組み合わせや配置を変えるなどマイナーチェンジを繰り返した。転機となったのが26節・岐阜戦。中盤を3ボランチにした3-5-2のシステムを採用し、これまで出場機会の少なかった前田凌佑、岩田智輝の20代前半の若い選手を抜擢(ばってき)する。また、これまで途中出場が多かった三平和司、小手川宏基らを先発起用した采配がズバリ的中した。

 

 ここからトリニータの“変幻自在のサッカー”が確立された。片野坂監督は以前から「試合状況によって柔軟に戦うことが大事。引き出しを増やしたい」と口にしており、対戦相手によってシステムや戦術、選手起用を臨機応変に使い分けるようになった。3連勝の後は3試合未勝利となったが、32節から5連勝とペースアップし、上位をキープ。三平丸谷拓也高木駿のセンターラインの安定感が増し、快進撃を支えた。

 

 40節・横浜FC戦の上位との直接対決では、昇格へのプレッシャーで体が重く、思うようなプレーができなかったが、その影響を受けることなく、41節の金沢戦では、切り札として途中出場した川西翔太が鮮やかなゴールにより、自動昇格圏となる2位を死守する。そして、昇格に王手をかけた最終節・山形戦で星雄次が先制ゴールを決めるも終盤に追いつかれ引き分けに終わったが、得失点差で2位になり昇格を決めた。アウェーにもかかわらずゴール裏をトリニータブルーに染めたサポーターと、選手、スタッフが歓喜に酔いしれた。

 

 最終節もチーム一丸となって戦った

 

(柚野真也)

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