TURNING POINT 〜つきぬけた瞬間〜 #06 「カヌーと出合い人生が大きく変わった」(森田考博・豊後木材市場)

2019/09/09
  • ターニングポイント~つきぬけた瞬間~

 決して練習環境が整っているわけではない。指導者もいなければ、練習相手もいない。「仕事をしながら競技を続ける難しさを感じた」(森田)。平日は仕事を終え、自分で考えた練習メニューを課し、黙々とこぎ続ける。土・日曜、祝日は一日中練習に時間を割く。「愚直で真面目。あんなに練習する奴はいない」とは高田高校の高木宏通監督。森田がカヌーを初めた頃を知る指導者の一人だ。「センスより努力ではい上がった選手。あの筋肉を見れば分かる」。県カヌー協会の合宿や合同練習で会うたびに体が大きくなる姿を見てきた。

 

 森田の爆発的なスピードは、バランス感覚と体幹の強さを支える下半身が源となっている。しかし、森田の武器は「カヌーを突き詰める追求心」にある。指導する者もいなければ、管理する者もいない。孤独な戦いは続くが、「自分にはカヌーしかない」と一点の曇りもなく練習に突き込む姿は修行僧のようだ。

 

 そんな森田に目標を聞くと「カヌーで自分は人生が変わった。これまでお世話になった方々のために恩返しをしたい」と答えた。国際大会や五輪出場という目標もあるが、一番は恩返し。そのために国体を森田にとって最も重要な大会と位置付けている。「結果を出すことでカヌーの注目度が高まり、普及、育成にも弾みがつく」。10月4日から始まる茨城国体では2度目の優勝を目指す。

 

カヌーで地元に恩返しをしたいと語る森田考博

 

(柚野真也) 

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