病と闘い、ピッチに立つ 犬丸祥太朗(大分鶴崎高校サッカー部・2年)

2021/02/17
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 新チームになってからも症状は改善することなく、アップをしてからその日の体調によって全体練習に参加できるかを決めた。1年の頃から試合に出ていた犬丸であっても先発の座を与えられるほどポジション争いは甘くはない。「自分だけ万全でなく、無理をして練習すれば体調が崩れる。みんなが強くなるのに、自分は弱くなる、不安でしかなかった」と明かす。そんな犬丸を救ったのが首藤謙二監督の言葉だった。「自分にできることをやればいい。チームにとってお前は必要だから」

 

 毎日体調と相談して自分で練習メニューを考えた。試合では限られた時間で最高のパフォーマンスを発揮できるように、これまで以上に周囲を見てプレーするようになった。県高校新人大会では途中交代が多く、連戦が続いた試合は欠場することもあった。「どうしても次の試合のことを考えて、無理はできなかったけど、決勝はやれるところまでやろうと決めた」。そう思うと気分が楽になった。試合中に何度も腹痛が襲ったが、「これまでになく体が軽く、集中できた」とチームの勝利のために走り続ける。「僕らの強みは後半になっても走り負けないこと。そこで僕だけ運動量が落ちたらチームに迷惑をかける。それだけはしたくなかった」

 今も体調と相談しながら練習する毎日だが、犬丸は「病気は言い訳にできない。ピッチに立てば全力でプレーするだけ」と覚悟を示した。ピッチに立てる時間が読めないからこそ、一つ一つのプレーに手を抜かない。その思いは誰よりも強い。

 

「全力で自分ができるプレーをするだけ」と語った

 

 

(柚野真也)

 

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